詩的に建築を・「あて」のつよさは使いよう

     

    歳と逆比例してときの長さの感じ方は速まるようです。

     

    あっちこっち動きまわる人生はせいぜい百年ですが、

    ひとところに根を張り一生を送る樹木の多くは数百年も生きる。

     

    なんと根気のよい命だろうか。

     

    ・あて・になるならないの・あて・は樹木にまつわるもので、

    木にとっては、大きな力であり、その踏ん張りがなくては、

    木は空に向かって葉を茂らすこともむずかしい。

     

    まして、逆境というべき、北斜面の樹木にとっては、

    命そのものが・あて・にかかっている。

     

    あてにならない・あて・であっては・あてはずれ・で、

    生き残れない。

     

    逆境にこそ、透徹した力が育つ。

     

    その・あて・こそはまさに逆境こそが働き場所である。

     

    家屋の屋根の重みに耐える梁などは、・あて・のような

    反力があるほど頼りになり丈夫である。

     

    支える、耐える、これらは・あて・に具わるものです。

     

    雪国には、おのづから、その感性の下地が備わっているような気がします。

     

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